まずはこの事実をお伝えしましょう。
令和2年7月12日の正午に東京赤坂に鎮座します日枝神社にて東京讃岐獅子舞は悪疫退散・豪雨災害早期復興を祈願して獅子舞をした。
しかしここに至るには獅子舞をやるように導かれたとしか思えない経緯があったのでした。
はじまりは「アートにエールを!」
縁を遡れば、あれは4月のこと。
東京都の芸術文化活動支援事業「アートにエールを!東京プロジェクト」が発表されました。
東京讃岐獅子舞も応募できるのか、詳細を読んでいると…
(1) 対象者
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に伴い、活動を自粛せざるを得ないプロのアーティスト、クリエイター、スタッフ等で、以下の要件を全て満たす方(個人または10名以内のグループ)
ア 以下の領域で活動していること
(ア)分野
音楽、演劇、舞踊、美術、映像、写真、伝統芸能、複合(核となる分野を特定できない芸術活動)等
(イ)職種
音楽家、俳優、舞踊・舞踏家、美術家、カメラマン、伝統芸能実演家、演出家、脚本家、舞台監督、照明家、音響家、舞台美術家、制作者、キュレーター、メイクアップアーティスト、舞台衣装家、その他アートワーク、クリエーションに関わるプロフェッショナル
ふむふむ、獅子舞も対象っぽいからいけそうだな
(2) 対象作品
ア 応募者自身が創作する、未発表の新作であること(新型コロナウイルス感染症の感染防止のため、動画作品上も、いわゆる「3密」を避けたものとしてください。)。既存作品の場合は、今回の新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、未発表となったものであること。
イ 5~10分程度を目安とする動画作品(3分以上、30分以内とする。)
ウ スマートフォンなどで撮影したものも可
エ 絵画などの静止画のスライドショー等の作品も可
ちょっとまって。
伝統芸能で未発表の新作???
しかも断密!公共施設も利用できなくなってしまって、外出も自粛。
つまり、手持ちの素材を組み合わせるか、テレワークで撮影するしかない。
獅子舞で何を???どうやって???
そこで思いついたのが
地方の獅子舞を東京都内で継承している獅子舞団体を並べて違いを紹介する動画
これ妄想だけでもすんごく面白くてテンション爆上げでやりたくて仕方なかったのだけど、道具が手元にあることや撮影できるのかどうか、面白くするにはかなり事前mtg必要だし絵コンテも必要、そもそも編集技術が…などなど課題が山積み。
悶々としている間にもYouTubeにはテレワーク演奏動画がどんどんアップされている。
なにより、応募しても採用されるかわからない。
う〜ん、やりたい。
やるならゴールデンウィーク中に撮影できるようにしたい。
テレワーク獅子舞
それで「アートにエールを!」関係なく、やりたいからやっちゃったテレワーク獅子舞の企画。
身内に声かけて第一弾を作成、それを見本にして第二弾もやっちゃった。
参加者にすごく喜んでもらえて、なによりコロナ禍でストレス過多の獅子舞キッズたちに楽しんでもらえたのがすごく大きな収穫になった。
そして参加者からの一言「オンラインで打ち上げやらないの?」
それイイ!!
結局は質問に回答する会になっちゃったけど、子どもたちが「親がやってたzoom飲み会に、自分が呼ばれて参加している」状況が面白かったようで、なんやかんやで最後まで参加してくれた。
オンライン、イケるかも!
リモート獅子舞練習
5月中までは大人しく(?)引きこもって過ごしたけど、このままではやばい。獅子舞どうするのか相談せにゃ!!
そこでメンバーとzoom MTGを行い、リモート練習をやってみることになった。
オンライン、イケる!
だけど楽すぎて元の生活に戻れない!
ニューノーマルだ!
全国一斉獅子舞に賛同したいけど場所がない
そして6月末、高橋館長が全国一斉獅子舞を提案される。
東京讃岐獅子舞もそろそろみんなと集まって練習したい。
だけど、3密対策で公共施設が広い会場ほど埋まる状況に。
梅雨も心配だから晴雨兼用の場所を探さないといけない。
轟音問題で小さな神社では不可能。しかし大きなところに問い合わせても梨の礫。
悔しいけど参加を諦めていた。
そんな時、NHKから問い合わせがきた。
奇跡の一週間のはじまり
東京都知事選の真っ只中。
都内感染者数が増え始め、合わせて人にも感染する豚インフルエンザが報道された頃。
『新型コロナでピンチ 夏祭りの今(仮)』をテーマに取材をしているとNHKから問い合わせがきた。
奇跡①メディアの連鎖と力
なんで?と思ったら読売新聞の社説をご覧になり、獅子舞応援団に辿り着いたそうな。
読売新聞取材を受けて。獅子舞応援団 @shishimaiouenda や相馬野馬追すごろくのこと、お話しました。流れに任せた拙速な中止ばかりだが、誰にとってなぜ必要とされてきたのか今一度考える時。
コロナ禍と祭礼 伝統の継承へ知恵を絞りたい : 社説 : 読売新聞オンライン https://t.co/rLM7xh8z3j— 鹿馬鹿_縦糸横糸 (@sikabakka) June 28, 2020
獅子舞のためになるならと快諾し、電話で取材を受けてみるとそれって高橋館長の企画がぴったりじゃん?となりご紹介。参加を呼びかけるバッチリなタイミング。
獅子仲間のリレーバトンみたいですごく胸が熱くなった。
高橋館長の取り組みが9日のシブ5時で取り上げられることになり、それに伴い参加団体も増え始めた。
東京讃岐獅子舞は参加できないけど、面白い流れになってきたと思ったら…
都内感染者数200人超
令和2年7月豪雨災害
大災害ニュースが飛び込み、都知事から移動自粛の号令が出たため、獅子舞のニュースは中止となった。
悔しいとかそんな感情よりも胸が痛かった。
高橋館長との電話でも、コロナだけじゃなくて豪雨災害も鎮めて、早期復興を祈りたい、獅子舞の参加ができると決まってもいないのにライブ配信して寄付を募りたいと伝えた。
(結局、ライブ配信&寄付募集は能力が足りず断念)
昨年の台風被害も十分に記憶に新しく、あの時も活用したスマートサプライで必要とされる物資の支援を行なった。
とにかく何かやりたくて、BASEの物販の利益を寄付に回すことにした。
神棚に鎮座する我らの獅子頭に、なんとかならないかと泣きながら訴えた。
(とても不気味な光景だな)
奇跡②参加メンバーと会場の確保
実は東京讃岐獅子舞、獅子舞を行う会場どころか、12日に参加するメンバーの回答がなくて参加できない状況だった。
日に日に増える感染者数に足踏みするのは当然だし、そんな状況だからみんな予定を決めづらい。
都内在住ではないから移動自粛がまたいつ出ることやら。
そんな中、しれっと参加OK回答が出てきて獅子舞をするのに必要な最低限の人数が揃ったのが7月6日のこと。
そんな状況だけど、獅子舞を行う会場として東京文化財研究所が使えないか、高橋館長が久保田室長に打診してくれていた。
しかし、東京都内の感染者数が増えている状況で借りれるわけもない。
やはりダメかと諦めていたところ、他にも会場を当たってくれていた久保田室長から神社でできるかもしれないからちょっとまっててと連絡が来たのが7月7日のこと。
そして7月8日。
東京都の感染者数が200人を超えた。
ああ、やはり都内での獅子舞はできない。
企画の想いとは裏腹にこんな状況で場所を貸してくれるわけがない。
そう思って諦めかけていた。
「赤坂の日枝神社さんがOKしてくれました!東京のど真ん中から発信できます!」
うおおおおおおおおお!!!
本当に!?こんな状況下でも開催の意図を汲んでやらせていただけると???
日枝神社さん、行ったことなかったけどWEBサイトを見てみるとこんなにも企画にぴったりな神社が他にあるだろうか?というほどの神社。
これはもう、遣わされている。
獅子舞をやれと導かれていると思わざるを得ない。
週末の天気予報は雨。御本殿の屋根の下でやるのであろうと思っていた。
獅子中の人がギリギリまで持ちきり人数で1人も欠けることが許されない状態だった。
それが前日に1人調整がついて、交代ができることになった。
東京讃岐獅子舞のボタンくずしは「暴れ獅子」と呼ばれるほど激しいため、持ちきり(交代なし)なんて死亡フラグが経つレベル。
更に雨予報が一転、晴天に。
どうやらメンバーに「天気の子」がいるらしい。
奇跡③新型コロナ感染症対策
都内感染者数が新記録更新続ける中での獅子舞。
祓い清め、鎮めるための獅子舞だけど感染対策もしなくてはいけない。
東京讃岐獅子舞の感染症対策はこちら
- 獅子舞中以外はマスク着用
- ソーシャルディスタンス
- こまめな手洗い&うがい
- ウィルス対策の漢方茶とのど飴配布
漢方茶は知人の漢方の先生が「漢方茶6,000包無償配布! 氣生薬局による、ウイルス感染対策の取り組み!」を行なっていることを直前に知って、12日に参加者関係者に配りたいと相談したら、1包&のど飴のセットを作ってくれることになった。
100%の対策がない今、できることをやる。
奇跡④子獅子の憂鬱
子獅子ハヤトくんの自前の獅子がオンライン練習中に破損してしまっため、獅子舞応援団所有の子獅子を貸し出すことになった。
さて、ユタンを何色にしよう。
水害と肺炎を鎮めたい。
『土』の色の力を借りよう。
それで黄色とピンクの色にした。
そして出発直前に電話が鳴る。
「おれ、今日休む」
ん?体調でも悪いのかな?
そうか、じゃあ飾り付けしたけど子獅子は置いて行こう。
荷物を積み込み、さあ出発!のタイミングでまた電話が鳴る。
「機嫌が悪く、行かないと電話しちゃったようですが、行きますね(ママ)」
うん、子どもあるあるだ(笑)
出発前でヨカッタ、ヨカッタ。
子獅子も連れて出発進行!
奇跡⑤そして全国一斉獅子舞で奇跡の舞
最初は玉砂利の上で、楽器類もなるべく遠く離れた場所で、参拝客の皆様のお耳の負担にならないように配置する予定だったのが、いざ道具を運び込んでみると御本殿前でどどーんとやる流れになっていた。
恐縮しすぎてアントマンくらいのサイズになってしまい、余計に御本殿は大きく、境内は広く感じた。
気温は32度。
わたわたと正午へのカウントダウンがはじまる。
心を落ち着かせるため、意識を集中させるため、そして感謝するために御本殿と関係者の皆様と獅子を舞う場所へ礼をする。
数万人のステージや東京駅でも獅子舞をした。
だけど、やはり一番緊張するのは神社での獅子舞だ。
視えない相手に全力で伝える。
滝のように流れる汗。
久しぶりの獅子舞の鉦の音に夏の日差しが相まって初っ端からトランスする意識。
時を同じくして各地で祈り舞い踊っているのだ。
機嫌が悪かった子獅子も今までで一番良い舞をしている。
リモート獅子舞練習は効果がある。
ああ、膝がガクガクしてきた。
この白昼夢のような時間ももう直ぐ終わる。
その時だった。
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なんと、獅子頭の足がもつれて転んでしまった。
だがしかし、根性で舞を止めずに最後まで舞きった。
伝説を作る男、こーじであった。
まとめ
- 縦糸横糸の小岩さんのシェアで知った「アートにエールを!」
- それで妄想が暴走してやっちゃった「テレワーク獅子舞」
- その経験から始めた「リモート獅子舞練習」
- それらが縦糸横糸の小岩さんから「読売新聞の社説」になり
- それを見た「HNKから問い合わせ」があり
- 結果、高橋館長が企画した「全国一斉獅子舞」に繋がったのでした。
これはまだ道半ばで、まだまだ遣わされるのだろうと思います。
無駄なものは何もないのだと感じました。
最後に
日枝神社の御祈祷が神聖すぎたのでご紹介します。
見たことない手水舎。
このあと豪華な生演奏と昇段参拝。空気が清すぎた。
今まで受けたことのない高級な待遇(日枝神社にとっては通常運転?)にメンバー全員、終始緊張していました。
そして、この度の悪疫退散・豪雨災害早期復興祈願の日本全国一斉獅子舞に東京讃岐獅子舞が参加できるに至り、ご尽力くださいました関係者の皆様、本当にありがとうございました。
東京文化財研究所 無形民俗文化財研究室長 久保田様
株式会社ミディアム 引地様 杉山様
日枝神社 権禰宜 内田様
白岡市観光協会宣伝広報特別会員 渡部様
ここに至る全てのきっかけになった
縦糸横糸合同会社 小岩様
そして
獅子博物館 高橋館長
この奇跡の続きは皆様で見届けてください。
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